2012/06/11

ヴァンジ彫刻庭園美術館

静岡県長泉町にあるクレマチスの丘に行ってきました。
このクレマチスの丘というのは、美術館、文学館、自然公園、レストランがある複合施設です。
以前、ここにあるベルナール・ビュフェ美術館に行ったことがあります。
ちなみにこのビュフェ美術館は改装中でした。
今回はヴァンジ彫刻庭園美術館へ。






レストラン「リストランテ プリマヴェーラ」の入り口。
広角で撮影しているので実際は狭いです。
そして、やはり雨でした。






ヴァンジ彫刻庭園美術館は彫刻の森美術館のような屋外展示と屋内展示が半々。
どんな彫刻かというとデジカメのバッテリーがなくなりこんな画像だけしか撮れませんでした。
なんと申し上げればよいものか、というような作品ばかり。

ところで、この美術館、庭園が素晴らしいのです。
知らずに行ったのですが、クレマチスとバラがどれも満開。
大きな赤いブラシの木も見事な満開。
雨天なので人もまばら。
ベンチやチェアの配置もよい。
英国風ガーデンを堪能できました。

大変気に入り、翌日再訪。
同じレストランで食事をし、併設されているフラワーショップで白いクレマチス(湘南の富士)とアジサイのスターマインを買い求めました。
また、ブックストアでNHK趣味の園芸別冊、金子明人氏監修のクレマチスの本を購入。

ヴァンジ彫刻庭園美術館では、「金子明人先生とめぐるガーデンツアー2012」という企画も行われていたようです。
5月20日、5月29日、6月10日、6月17日の4回だそうですので、このころがクレマチスの見ごろということになると思います。
なお、クレマチスは9月ごろにも咲くそうです。
また見に行こう。





2012/04/07

セザンヌ「パリとプロヴァンス」展-国立新美術館

セザンヌ「パリとプロヴァンス」展へ。
国立新美術館開館5周年記念だそうです。
出品数は約90点。

フランスの画家、ポール・セザンヌさんは、南フランスのプロヴァンスの出身。
パリに出て修行しますが、その後もプロヴァンスとパリを行ったり来たり。
この展覧会では、そうしたパリとプロヴァンスで製作された作品の比較をテーマとしていました。
なかなか興味深いアプローチ。









最初に展示されていたのは「砂糖壷、洋なし、青いカップ」(Sugar Bowl, Pears and Blue Cup/1865-70)。
ロマン派に学んでいた初期の頃の作品です。
この頃ルーブル美術館に足を運び模写をしていた。




上は静物画コーナーに展示されていた「りんごとオレンジ」(Apples and Oranges/1899頃)
60歳の頃の作品。
視覚がどのように物体の面を捉えているのかという深い考察が長い時間を経てこうした作品へ昇華してゆきました。

セザンヌは1839年生まれ。
何歳頃の作品かを意識して鑑賞すると面白いです。

おすすめは500円の音声ガイド。
ジブリの紅の豚さんの声優だった森山周一郎さんの語り。
特に音声ガイド番号15番。
豚さんが画家だったように思えて笑えました。

2012/04/02

京都旅行

雨が降ったからというわけではないのですが、家族と京都に行ってきました。
昨年とは異なる名所をまわりました。





3月31日は最初に雨の二条城。
京料理の天喜で昼食。
雨が上がり、そこから歩いて北の天満宮。
牛さんの頭をなでてから上賀茂神社。
本殿と権殿が素晴らしい。
それから京都御所。
予約のことを知らず中に入れず。
近くの松屋常盤で和菓子を買い、それから末富でも和菓子を買う。
夕食は開陽亭でたらふく食べました。


4月1日。
JR奈良線で宇治へ。
うどんや茶そばを食べてから平等院。
対岸の宇治上神社を見て、京都に戻る。
京都駅11階の先斗入ルで京風スパゲティを食べ、西本願寺へ。
さらに東寺。
そしてライトアップされた高台寺に行きました。





そのうち色鉛筆で京都を描きたいと思います。

2012/03/30

ユベール・ロベール「時間の庭」展(4)-国立西洋美術館

ユベール・ロベールさんの絵に何度も登場するのがティヴォリのシビラ神殿。
wikiの画像をもとにして色鉛筆で描いてみました。


 このシビラ神殿、隣の矩形の神殿の名前であるとする説もあります。
その場合、この円筒形の神殿はウェスタ神殿。
アーチは構造上必要な形態ですが、この円筒形は美のみを追求しているようにも思えます。

ティヴォリには行ったことがないのですが、この町は古代ローマ時代から多くの別荘が作られていました。
そして滝や湧水に恵まれている。
ロベールさんの絵画に美しい水の流れが描かれているのはこのティヴォリにあこがれていたからでしょう。
また洗濯女もこのティボリでの思い出につながっているのかも。
それとも、洗濯女を描くことで水が清らかであることを示したかったのか。

あらたに三菱鉛筆のuni72色色鉛筆を購入。
今回の神殿の絵はこの72色三菱鉛筆と36色トンボ鉛筆を使いました。
下の画像がベースになった画像です。

 下の絵画はアダム・エルスハイマーによるもの。
1600年ごろの製作だそうです。
このころは向かって左側の壁が残っていることが分かります。
面白いなぁ。




2012/03/19

ユベール・ロベール「時間の庭」展(3)-国立西洋美術館

ロベールさんの作品に感動したので何か描いてみたくなりました。
そこでセプティミウス・セウェルス凱旋門の画像をwikiから拾ってきました。


 描きたいところをトリミングし、適当にコントラストや明るさを調整してうすい下絵に加工。
下のぼんやりとした画像がその下絵です。
これを家庭用のレーザープリンターでA4コピー用紙にプリントアウト。





 トンボの36色の色鉛筆をアマゾンで購入。
うすい下絵をなぞるようにして色鉛筆でどんどん描き込んでいきます。
塗り絵のようなものです。


 思いつきでやってみましたがなかなか楽しめます。

今度はユベール・ロベールさんの「セプティミウス・セウェルス凱旋門のヴァリエーション」を色鉛筆で。
こうして描いてみるとロベールさんの作品のすばらしさをさらに感じることができました。


2012/03/17

ユベール・ロベール「時間の庭」展(2)-国立西洋美術館

ユベール・ロベール「時間の庭」展が気に入り、もう一度行きました。
今度は家族といっしょです。

2度目ということもあり細部まで鑑賞することができました。
お気に入りの「スフィンクス橋の眺め」では、こちらを向いているスフィンクスの表情がかわいらしくほほえましかったです。
今回の展覧会には出品されていないロベールさんの他の作品も知りたくなりネットで拾ってみました。
年代順に並べてあります。




La Bièvre 1768



The Old Bridge  1775




The Pont du Gard 1787



 La Violation des Caveaux des Rois Dans La Basilique de Saint-Denis 1793


 ロベールさんはアーチが大好きです。
こちらもアーチ好きになってしまいました。


タイトルが東京散歩なので歩数計を購入してみました。
「時間の庭」展、行って帰ってくると6107歩。

2012/03/10

ユベール・ロベール「時間の庭」展-国立西洋美術館

ユベール・ロベール「時間の庭」展は楽しめました。
非常に面白いです。
出品は約130作品。

ユベール・ロベール(Hubert Robert)さんは、21歳(1754年)のとき、駐ローマ・フランス大使になったスタンヴィル伯爵(のちのショワズール公爵)に伴いローマに到着。
それから11年間イタリアの古代遺跡を写生し、32歳(1765年)にフランスに帰ってきます。
だから展示されている作品の多くはこのイタリア時代の淡彩画が多い。



 これは1756年製作の「セプティミウス・セウェルス凱旋門のヴァリエーション」。
非常に緻密でリアリティがあります。
ところがこれが大嘘。



 これがフォロ・ロマーノにある実際のセプティミウス・セウェルス凱旋門です。
3つのアーチがあるのに中央のみになっている。
さらに、凱旋門の向こうに見えているガイウス・ケスティウスのピラミッドは、実際には数キロ先にあるため、ロベールさんの絵画のようにはならない。
なお、凱旋門の土台が見えないのは当時はその部分が埋まっていたためです。
これは1742年製作のカナレットの絵画を見ると分かります。

「セプティミウス・セウェルス凱旋門のヴァリエーション」を見ているとかなり危なっかしい状態であり今にも崩れそう。
下の2人の兵士にそんなに近づいては危ないよ、と声をかけたくなります。

「セプティミウス・セウェルス凱旋門のヴァリエーション」はローマについてから2年目に製作されています。
スケッチに飽きちゃったからではなく、想像上の情景に基づいて製作を進めていたということ。





下の「古代遺物の発見者たち」はもっと愉快。
1765年製作、81cmx67cm。



このトンネルのような建物はコロッセウムの内部。
当時のコロッセウムはかなりの部分が埋もれたり植物で覆われていた。
また、ここにも見えないはずのガイウス・ケスティウスのピラミッドが見えている。
だからこの情景も想像上のもの。
そして「発見者たち」が本来コロッセウムの中には存在しない古代の王の像を見つけた様子が描かれている。
インディジョーンズのようなアドベンチャー映画のポスターのようです。
楽しい。






下は「スフィンクス橋の眺め」。
1767製作、96cmx163cm。
最も印象に残った作品です。



重厚なアーチの下の空間。
2つの橋脚にはそれぞれ出入り口がが設けられており、そこから階段で水際まで下りられるようになっている。
手摺もある。
さらにそれぞれの階段の最下段には一対の真っ黒なスフィンクスがあり、4つのスフィンクスが向き合っている。
これ、かなり奇妙だと思いませんか?

スフィンクスが守り神だとすると、こんな具合に配置するとは思えない。
だいたい、増水すればスフィンクスや手摺は破壊されてしまう。
そもそも橋脚に出入り口があるというのが妙だ。

「Ancient Rome Bridge」でgoogleの画像検索をしてみてもこのような橋は出てこない。
橋脚内部に空間と出入り口がある、ということ自体がロベールさんの考案だと思います。
だとすればこれは素晴らしい。

遠景にはカリオストロの城が見え、映画と同じようにアーチの間から滝が流れている。
さらに城との遠近感を強調するためかアーチの中央からフックが垂れ下がっている。
このフックにどんな照明を吊るすつもりだったのだろうか。
階段の細すぎる手摺は段部が見えない左側にも階段があることを表現したかったから。
だから降りてゆく女性の姿まで描いてある。

洗濯女はロベールさんのお気に入り。
彼のさまざまな作品に登場している。

このアーチの空間はロベールさんの理想の居住空間だったのではないか。
小川の流れは緩やかだし水汲みも楽だ。
夜はフックに照明を引っ掛け、水面にゆらゆらと映るオイルランプの灯りを楽しむ。
半屋外の階段に座ってみんなで夕食なのだろう。

その後ロベールさんは庭園の設計者としても成功し、自らが理想とする庭園の完成図を描いたそうだ。
そしてその完成した庭園をさらに写生して楽しんだ。
ロベールさんは単なる画家ではなく現実世界のクリエーターだったのだ。
美術という狭い枠では息苦しいね。

2012/03/09

ピラネージ「牢獄」展-国立西洋美術館

雨の日の東京散歩のことを書いてゆきます。
どうぞよろしく。

上野の国立西洋美術館へ行ってきました。



 午前中、常設展とピラネージ「牢獄」展を見てから館内のカフェすいれんで昼食。
特別展メニューのポトフとコーヒー。
ユベール・ロベールさんがフランスの方だからだそうです。
午後はじっくりユベール・ロベール「時間の庭」展を見ました。

ピラネージさんの「牢獄」展は面白かった。
展示されていたのはダイナミックな構図で建築物の内部を描いたエッチングによる版画です。
出品は30作品。



 「牢獄」展ではこんな説明がされていました。


 建築家の夢想をそのまま絵にしたような楽しさがあります。
部屋や廊下というようなそれぞれの空間の機能を考えなくてもいい。
構造計算もいらない。
当然コスト的な制約もない。

建築家としては成功しなかったみたいだけど、それでよかったように思います。
自由に好きな空間と構造物を構築できたわけだから。
牢獄ではなくもっとハッピーな建築物を見たかったな。